年頭所感
明けましておめでとうございます。皆様におかれましては、平素より労働災害の減少に向けた行政施策の推進に御理解、御協力をいただき、厚く御礼申し上げます。本年も皆様にとってよき年でありますよう祈念申し上げます。
近年の労働災害の発生状況を見ますと、死亡災害については、長期的に減少を続ける一方で、休業4日以上の災害は増加傾向にあり、最も少なかった時と比較して、約3 割も増加しています。この背景としては、高年齢労働者の増加、産業の第三次産業化、外国人労働者の災害の増加や、インターネットを用いた購買の増加による物流の増加、といったことが指摘されています。厚生労働省では、令和5年度を初年度として策定した5か年計画「第14次労働災害防止計画」において、労働災害を少しでも減らし、労働者一人一人が安全で健康に働くことができる職場環境の実現を目指し、各種取組を推進しております。
この中では、労働者の属性に着目した施策として、高年齢労働者の就業者数及びその割合の増加により、高年齢労働者の労働災害が増加していることから、高年齢労働者の特性に配慮した作業環境の改善、適切な作業の管理その他の措置といった「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」に基づく高年齢労働者の労働災害防止対策の徹底を図ってまいります。
業種別の労働災害防止対策の推進に係る取組としては、陸上貨物運送事業の災害の多くを占める荷役災害の防止のために行われた荷役作業の昇降設備や保護帽の規制対象の拡大等の対策や、建設業における墜落・転落災害防止対策の充実強化や製造業における施設、機械等に起因する災害防止のためのリスクアセスメントの適切な実施を始めとする対策の徹底を図っております。加えて、建設業、製造業以外の業種も含め、今後はデジタル技術への安全衛生分野における活用について議論するなど、DXの進展も踏まえた施策を推進してまいります。
さらに、特に、増加する高年齢労働者の労働災害への対応や、クレーン等の機械等への民間活力の活用などについては、労働政策審議会安全衛生分科会において、これら課題への対応方策について、ご議論いただいているところです。
貴協会との関連では、特定自主検査の対象となるフォークリフトや車両系建設機械等を起因物とする労働災害も依然として多く発生しております。こうした状況の中、貴協会におかれましては、特定自主検査に関わる刊行物の発行や情報発信、検査業者への巡回指導等の実施により労働災害防止に御貢献されており、改めてお礼申し上げます。会員事業者の皆様におかれましても、引き続き適切な検査・整備の実施に努めていただきますようお願い申し上げます。
最後に、労働災害を減少させるためには、皆様のたゆまぬ継続的な安全活動が重要です。各企業、業界団体、労働災害防止団体等関係者の皆様と一緒に更なる取組を進めてまいりたいと存じますので、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。