建荷協からのお知らせ

経済産業省製造産業局 産業機械課長の年頭所感を掲載しました。

2024年01月04日

年頭所感

 

 

経済産業省 製造産業局

産業機械課長 安田 篤

 

 冒頭、本年1月1日に発生しました令和6年能登半島地震において亡くなられた方々に心からご冥福をお祈り申しあげるとともに、被災された全ての方々にお見舞いを申し上げます。

 政府一丸となって、「人命第一」で、救命・救助活動に全力を尽くしてまいります。

経済産業省としても、総力を挙げ、関係省庁と連携し、

①電力、石油、ガスのエネルギーインフラの復旧、

②ストーブ等の暖房器具や灯油など経済産業省が所管する物資について、「プッシュ型支援」の実施、

③コンビニ等からの支援物資の供給強化、

④中小企業・小規模事業者の資金繰り支援の強化 等

に緊張感をもって取り組んでまいります。引き続き、産業界をはじめとする国民の皆様にも、御協力いただきますようよろしくお願い致します。

 

 昨年は、コロナ禍が収束に向かい活気が戻った一方で、国際経済秩序が変化した年でした。こうした新たな経済構造の転換の時期において、産業界の皆様には、高水準の賃上げ実現や国内投資の促進等に、ご尽力いただきましたこと改めて感謝申し上げます。経済界の皆様のご尽力もあり、日本史上最高を更新する国内投資見通し、実に30年ぶりとなる高水準の賃上げの実現など、成長と改革の方向に向かう「潮目の変化」が生じています。経済産業省では、物価高に負けない賃上げを実現できるよう、引き続き賃上げのカギとなる取引適正化・価格転嫁対策の推進や事業再構築への支援、省力化や生産性向上の取組、中堅企業の大規模投資支援等を通じた、国内投資の加速と成長力強化に全力を尽くしてまいります。

 

 産業界では物価高やエネルギー高の影響で様々な課題に直面していると存じます。経済産業省では、足元のエネルギー高への対策として、燃料油価格、電気・ガス料金にかかる激変緩和措置を本年春まで継続するとともに、省エネ型の経済・社会構造への転換を実現すべく、企業・家庭向けの支援を実施します。そして、昨年に続きGXやDXも進めていきます。GXについては、昨年末に、エネルギー分野、くらし分野、産業分野それぞれにおいて分野別投資戦略を取りまとめました。これら各分野の戦略に基づき、20兆円規模のGX経済移行債を活用した投資促進策を実行していきます。DXについては、DXを実現した設備導入だけでなく、DXに資する人材の育成の支援も行ってまいります。

 

 また、産業界の皆様には、本年4月から適用されるトラックドライバーの時間外労働上限規制等により、輸送力の不足が懸念される「物流の2024年問題」の解決に向け、対策を講じていただいております。深刻な人手不足の中、産業界における物流の適正化や生産性向上のため、荷主企業の物流施設の自動化、機械化などに向けた支援策等を進めてまいります。

 

 1年後に迫った大阪・関西万博では、ポストコロナの新たな世界、次世代技術・社会システムが形作る未来社会の風景観を示し、我が国のイノベーションの可能性を世界に発信していきます。経済産業省として、世界中から来訪する様々な人達が刺激を与え合えるような万博にできるよう、準備に邁進してまいります。是非、産業界の皆様にも「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマに沿って一緒に盛り上げていただければ幸いです。
 我が国を取り巻く外的環境は日に日に厳しさを増しています。今後の経済成長の鍵となる戦略分野については国内投資、研究開発、人材育成等への支援にさらに力を入れ、安定的な供給に向けた取組を進めていきます。そして、経済安全保障に関する産業・技術基盤に影響が及ぶ脅威やリスクをいち早く捉えるために「経済安全保障に関する産業技術基盤強化アクションプラン」にまとめておりますように、産業界の皆様との戦略的対話を行って参りたいと存じます。また、イノベーションを支えるスタートアップのグローバル展開や人材育成等に対し幅広い支援を行うとともに、G7広島サミットで合意された、グローバルサウスとの連携強化の推進も進めてまいります。

 

 昨年12月には、「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想の下での初のAZEC首脳会合を開催いたしました。経済産業省からMOU等の協力について報告を行ったところですが、引き続き官民連携してエネルギートランジションを進めていきたいと思いますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

 

 こうした経済成長のチャンスを逃さぬよう、流動的な経済構造の変化を捉え、自由で公平な通商・貿易環境の構築、新たなイノベーションモデルを支える基盤の整備、加えて、日本経済の土台となる投資への支援等に重点を置いて政策を推進することで、日本経済の更なる成長に貢献してまいります。

 

 結びになりますが、本年が、皆様方にとって更なる飛躍の1年となりますよう祈念いたしまして、新年の挨拶とさせていただきます。