建荷協からのお知らせ

経済産業省製造産業局 産業機械課長の年頭所感を掲載しました。

2023年01月04日

年頭所感

 

 

経済産業省 製造産業局

産業機械課長 安田 篤

 

 令和5年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 

 新型コロナウイルスの世界的拡大から3年弱が経過しました。産業界の皆様には、テレワークの推進や時差出勤、職域接種によるワクチン接種の加速など、様々な形で御協力をいただき、改めて御礼申し上げます。

 他方で、昨年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は、米中対立、新型コロナウイルスによるパンデミックに引き続き、1990年以降拡大してきたグローバリゼーションを逆回転させる歴史的な出来事となり、これを背景として、世界的なインフレの加速と急激な円安の進行など先行き不透明な状況が続いており、我が国の製造業は、半導体をはじめとした部素材の供給途絶やエネルギー価格の高騰など、様々な面で引き続き影響を受けておられると承知しています。我が国製造業の成長のために引き続き皆様と全力を尽くして進めてまいりたいと思います。

 

 ロシア・ウクライナ情勢に加え、グローバルなサプライチェーンの脆弱性や国家、地域間の相互依存リスクが顕在化する中、昨年5月に成立した経済安全保障推進法に基づき、我が国では日本の経済構造の自立性の向上、技術の優位性、ひいては不可欠性の確保を目指し様々な施策に取り組んでおり、昨年、政府は広く国民生活・経済活動が依拠している必要不可欠な物資として、工作機械・産業用ロボット、半導体、蓄電池を含めた11物資を政令にて指定しております。

 令和4年度第2次補正予算では、重要物資のサプライチェーンの強靱化を図るための事業を盛り込んでおり、特定重要物資の安定供給の確保に資する民間企業の設備投資や研究開発の取組を後押ししてまいります。

 

 経済産業省では、2050年カーボンニュートラルという野心的な目標に向けて、脱炭素化に向けた長期にわたる研究開発・社会実装を行う企業等に対して、グリーンイノベーション基金にて、継続的な支援を行っており、今後も必要な支援を行うとともに、カーボンプライシングの制度の在り方や、特に脱炭素化が難しい(hard-to-abate)産業セクターも含め、規制・支援一体型の投資促進策を講じてまいります。昨年2月に発表したGXリーグ基本構想には、既に日本のCO2排出量の4割以上を占める約600社の企業より賛同を頂いており、本年は、予見可能性を高め、企業がGXに向けた投資をしやすい環境作りに取り組んでまいります。

 

 新型コロナウイルス拡大の影響もあり、リモートワークなど日常生活におけるデジタル化が幅広く浸透し、物流や小売業等でのロボット導入や、インフラ点検や物流、災害対応でのドローン活用など、新たな技術の活用の場が拡大するなど、データ連携・利活用をはじめとした、デジタル化の促進や、その実現に必要な技術を持つ人材育成が重要となっております。

 経済産業省としては、設備投資やIT導入支援を後押しすべく、ものづくり補助金などの生産性革命推進事業や、リスキリング等に取り組んでおります。

 2年後に迫った2025年には、大阪・関西万博において「空飛ぶクルマ」の商用運行を開始することを目指し、政府では制度整備や研究開発を進めています。こうした取組などを通じて、経済産業省としては、未来の豊かなモビリティ社会を構築してまいります。

 

 福島の復興は、継続して経済産業省の最重要課題です。経済産業省では、昨年末に官民連携の枠組みである「魅力発見!三陸・常磐ものネットワーク」を立ち上げました。本ネットワークでは、産業界、自治体、政府関係機関等から広く参加を募り、水産物等の売り手と買い手を繋げることで、「三陸・常磐もの」の魅力を発信し、産業界での消費拡大を後押ししていますが、皆様におかれましても、ぜひネットワークへの積極的な協力・参加をお願いいたします。

 

 日本の製造業は、急速に変化し続ける環境の中で、複雑で困難な課題にも多く直面しています。しかし、それらに果敢に取り組みイノベーションを続けることで、安定した成長を続けられると確信しております。引き続き、皆様の現場の生の声をお伺いし、それを産業政策に活かしてまいりたいと考えております。

 

本年が、皆様にとって素晴らしい1年となることを祈念いたしまして、新年の御挨拶とさせていただきます。