建荷協からのお知らせ

厚生労働省労働基準局 安全衛生部安全課長の年頭所感を掲載しました。

2022年01月04日

年頭所感

 

 

厚生労働省労働基準局 安全衛生部

安全課長 安達 栄

 

 明けましておめでとうございます。皆様方におかれましては、日頃より労働災害の減少に向けた行政施策の推進に御理解、御協力をいただき、厚く御礼申し上げます。

 労働災害による死亡者数、休業4日以上の死傷者数は、いずれも長期的には減少傾向にありますが、近年死傷者数は増加傾向にあります。

 令和3年の速報値では、「第13次労働災害防止計画」の目標に掲げる起算年である平成29年同期と比較して、新型コロナウイルスのり患による労働災害を除き、死亡者数は約20%の減少しているものの、休業4日以上の死傷者数は約10%の増加となっています。

 死傷者数の内訳を業種別で見ると、これまで自主的な安全活動が活発に行われていた製造業、建設業における死傷者数が長期的に減少している一方で、介護施設、小売業、陸上貨物運送事業における死傷者数及び年千人率のいずれも増加傾向にあり、陸上貨物運送事業に続き、小売業における死傷者数は、令和2年に初めて建設業を上回りました。

 また、事故の型別で見ると、これまで多かった墜落・転落やはさまれ・巻き込まれによる死傷者数が長期的に見て減少している一方で、「転倒」や腰痛等の「動作の反動・無理な動作」による死傷者数が近年増加し、令和2年には全体の約40%を占めるなど、「行動災害」の防止が課題となっています。

 更に、人生100年時代として高年齢労働者の就業が拡大する中で、50歳以上の労働災害が増加しており、これらの労働災害への対策が喫緊の課題となっています。

 今年は、第13次労働災害止計画(平成30年度~令和4年度)の最終年度を迎えます。厚生労働省では、上述の課題への対策を重点として、労働者が安心して安全に働くことのできる職場環境の実現に取り組んでまいりますので、皆様方におかれましては、引き続きの御協力をお願い申し上げます。

 具体的には、転倒や腰痛等による労働災害の対策については、厚生労働省が作成する視聴覚教材の活用など、これまで厚生労働省が作成したツールの普及啓発に力を入れて取り組んでまいります。

高年齢労働者の労働災害防止対策については、高年齢労働者が安心して安全に働くことのできる職場環境の実現のために事業者、労働者が取り組むべき事項をまとめたエイジフレンドリーガイドラインに基づく取組が推進されるよう、継続して取り組むとともに、補助金による支援も引き続き実施する方針です。

 その他、本年より旧構造規格に基づく安全帯の使用はできなくなります。皆さまにおかれては、新規格に基づく墜落制止用器具の使用を徹底していただくようお願いいたします。

 最後に、労働災害を減少させるためには、皆様のたゆまぬ継続的な安全活動が重要です。各企業、業界団体、労働災害防止団体等の皆様と一緒に更なる取組を進めて参りたいと存じますので、今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。